本論文では,特定オブジェクトの誘目性を向上させる際に,適切な画像加工を行うエフェクト列を自動選択する方法を提案する.提案手法では,デザイナーや画像加工担当者が頻繁に利用するエフェクトの中から,画像加工に用いるエフェクト列を構成する最適化問題を考える.この最適化問題では,視覚的顕著性マップにより目的関数を算出し,加工前後の画像間の距離に関する制約条件を設ける.その解法として,貪欲法に基づく発見的解法を用いる.これにより,現実的な計算時間で過度な違和感を生じずに特定オブジェクトの誘目性を向上させることが期待できる.検証のために,提案手法を16 枚の画像例に適用する.また,アンケートによる主観的評価や注視点測定システムによる客観的評価により,提案手法により得られた加工画像を検証する.
鈴木菜摘 中田洋平
明治大学大学院先端数理科学研究科