複数のディスプレイを用いた画質の主観評価法を提案する.超解像技術やフレーム補間といった信号処理による高画質化技術を搭載したテレビが販売されているが,実際にテレビ上で画質が向上する根拠は不明であり,画質性能を適切に評価することが求められている.映像機器に搭載された技術の主観評価には複数のディスプレイを用いる必要があるが,複数のディスプレイを用いた標準的な主観評価法はない.本稿では複数のディスプレイの主観評価にシェッフェの一対比較方とITU-R BT.500の一部を組み合わせた手法を提案し,実際に4Kテレビに実装された超解像技術の主観評価実験を行った.全ての実験結果では水準1%の有意差が検出され,提案手法の有用性が示された.提案手法は他の複数のディスプレイを用いた主観評価に応用可能である.
森 千夏,椙江政貴,竹下寛久,合志清一
工学院大学