オープンサイエンスという言葉をよく耳にするようになりました。その肝は「オープン」すなわち「誰にも平等に開かれた」手段や方法を用いることで、研究者のような専門家だけでなく非専門家であっても、あらゆる人々が学術的研究や調査の成果やその他の発信される情報にアクセスを可能にし、研究活動に多様な方法で参加できるようにしよう、というムーブメントを指します。(Wikipediaより引用)
また、シチズンサイエンスという言葉もあります。これは、オープンサイエンスの中でとくに、非専門家が参加し成果を挙げる学術調査研究を指す用語と言えます。
第5回のDMH研究会では、オープンサイエンス・シチズンサイエンスと博物館・人文学との関わりを考えます。すなわち、学芸員・人文学研究者と来館者・一般市民との建設的なコラボレーションが博物館・美術館や人文学研究にもたらす未来についてとりあげたいと思います。
今回、人間文化研究機構国立歴史民俗博物館の橋本雄太准教授(*)による招待講演(オンライン)を行います。橋本氏は、日本の人文情報学をけん引する気鋭の若手研究者であり、市民参加型翻刻プロジェクト「みんなで翻刻」(https://honkoku.org/)のシステム開発を手掛けた、プロジェクトの中心メンバーのひとりです。「みんなで翻刻」は、日本の古文書に対して、様々な市民が、オンラインで「みんなで」協働することを実現させた初の事例として高く評価されており、情報処理学会山下記念研究賞(2017年)、野上紘子記念アート・ドキュメンテーション学会賞(2018年)、Library of the Year (LoY) 2020 大賞 IRI知的資源イニシアチブ(2020年)など数々の賞を受賞されています。(*)https://researchmap.jp/yhashimoto/
なお、Zoomによるオンライン参加と会場参加を併用した開催形式となります。研究会開催日のコロナ感染状況によりオンラインのみの開催になる可能性があります。
プログラム
13:30-13:35 開会挨拶 DMH研究委員会 幹事 鈴木卓治(国立歴史民俗博物館)
招待講演 司会:鈴木卓治(国立歴史民俗博物館)
13:35-14:25 みんなで翻刻:歴史文献資料の市民参加型テキスト化プラットフォーム
橋本雄太(国立歴史民俗博物館) ※Zoomもしくは事前録画による講演
(5分休憩)
セッション1 座長:横山恵理(大阪工業大学)
14:30-15:00 博物館・美術館の社会学的考察~Web社会における遠足型と放課後型
大野邦夫(モナビITコンサルティング)、梶原俊男(シンクタンク碁ルネサンス)、木村登志子(明治大学)
15:00-15:30 洛中洛外図屏風VRコンテンツへの人物モデルの追加
戸島克裕、渡部大輔、横山恵理、平山亮(大阪工業大学)
(5分休憩)
セッション2 座長:平山亮(大阪工業大学)
15:35-16:05 VR博物館のためのベストプラクティスの提案とVR彦根かるた博物館における初期的検討
西村正迪、横山恵理、矢野浩二朗(大阪工業大学)
16:05-16:35 ストーリー理解のための学習アプリケーション-伊勢物語、土佐日記、幼児向け童話類-
横山恵理、山之内萌、須永宏(大阪工業大学)
(5分休憩)
16:40-16:55 フリーディスカッション
16:55-17:00 閉会挨拶 DMH研究委員会委員長 平山 亮(大阪工業大学)
以上。
(2023/2/24掲載)