第9回のDMH研究会では,博物館・人文学におけるデジタルデータの作成と活用について考えます.いうまでもなく,博物館・人文学におけるデジタル技術応用は,まずデジタルデータを作ることから始まります.1990年代初頭,日本のいくつかの学会で人文学へのデジタル技術応用を考える研究会が作られたときは,ともかくめいめいが独自の視点・書式でデジタルデータを作成し,分析・利用するところから始まりました.標準化といえばようやくSGMLやUnicodeが知られるようになった頃のことです.それから四半世紀,PC・スマートフォン・タブレットに代表される情報機器の進歩と,オープンサイエンス・シチズンサイエンスの潮流に乗って,データの精密化・大容量化・標準化・国際化・自由な流通が格段に進歩しました.
今回の研究会では,デジタルデータの作成と活用に焦点を当て,最先端の方法でデータを作っている方も,逆にどうやったらよいデジタルデータになるか試行錯誤しておられる方も,また,作る側・利用する側の別を問わず,さまざまな段階・環境にある方々が一堂に会してざっくばらんに交流を図る場としたいと考えます.
また本研究会では,人間文化研究機構の大井将生特任准教授(https://researchmap.jp/m-oi)による招待講演を行います.大井氏は,公立高校教員の経験をもち,現在は「デジタルアーカイブの教育活用」をテーマとして情報学やデジタルヒューマニティーズの視座から学校教育を対象とした実践的研究に従事しておられます.これまで,デジタルアーカイブ学会学会賞「学術賞(研究論文)」を2度(2021年,2023年)受賞されている他,Linked Open Data Challenge最優秀賞(2021年)および学術LOD賞(2024年),デジタルアーカイブジャパン・アワード2022などを受賞されています.また,内閣府知的財産戦略推進事務局「デジタルアーカイブ推進に関する検討会」のメンバー,文化庁「博物館DXに関する検討会議」の有識者委員などを歴任され,国の施策にも深くかかわっておられます.
本研究会は,Zoomによるオンライン参加と会場参加を併用した開催形式となります.
日時:2025年3月12日(水) 13:30~17:00
場所:Zoomによるオンライン開催+国立歴史民俗博物館第3会議室 https://www.rekihaku.ac.jp
協賛:画像関連学会連合会(FIS)
参加費:1,000円(PDF予稿集付).研究会運営のため,講演者も含め参加費をお願いしています.会員・非会員の区別なく一律1,000円となります.
参加登録フォーム:https://forms.gle/jxtegZpksgDSm91P9
こちらよりお申し込みください.人数把握のため,会場参加の場合も事前参加登録をお願いします.
参加登録〆切:2025年3月10日(月)
参加費支払〆切:2025年3月10日(月)
オンライン参加URL通知:2025年3月11日(火)予定
会場参加について:会場参加申込者には,入館の方法について個別に連絡いたします.会場のキャパシティを超えるご希望があった場合,やむをえず会場参加をお断りする場合があります.
歴博の展示観覧をご希望の方へ:研究会に会場参加されるみなさまを対象に,国立歴史民俗博物館の無料観覧券をご提供いたします.さらにご希望の方には,10:30~12:00まで,歴博の6つの常設展示室を順にご案内するツアーを実施します.展示に組み込まれたデジタルコンテンツについてもその場で解説いたします.参加者数把握のため,研究会参加申し込みの際,ご連絡事項の欄の「ツアー参加希望」にチェックをお入れください.
聴講に際しての誓約: 本研究会においては録画行為及び各発表者のプレゼンテーションのキャプチャー行為など複写行為を禁止します.参加申込をもって同意いただいたものとみなします.
プログラム:
13:30-13:35 開会挨拶 DMH研究委員会 幹事 鈴木卓治(国立歴史民俗博物館)
【招待講演】 司会:鈴木卓治(国立歴史民俗博物館)
13:35-14:25 博物館・人文学データの蓄積・標準化・活用が世の中に与えるインパクトと未来像―誰でも創れるデジタルミュージアム & Linked Open Dataとその教育活用―
大井将生(人間文化研究機構)
(10分休憩)
セッション1 座長:横山恵理(大阪工業大学)
14:35-14:55 洛中洛外図屏風VRの没入感向上のための自然環境を考慮したマテリアルの導入
戸島克裕,横山恵理,平山亮(大阪工業大学)
14:55-15:15 『吉備大臣入唐絵巻』のshort動画化
鯉沼快成,横山恵理,平山亮(大阪工業大学) 《オンラインによる講演》
(10分休憩)
セッション2 座長:平山亮(大阪工業大学)
15:25-15:55 非線形振動モデルの系統的記述と活用に関する考察 -デジタルミュージアム・人文学分野における分析と紹介-
大野邦夫(モナビITコンサルティング) 《オンラインによる講演》
15:55-16:25 国立歴史民俗博物館日本荘園データベースにおける時間情報のデータクレンジング(第1報)~Hutime Web APIを用いた西暦-和暦整合性チェック~
鈴木卓治(国立歴史民俗博物館)
(10分休憩)
16:35-16:55 フリーディスカッション
16:55-17:00 閉会挨拶 DMH研究委員会委員長 平山 亮(大阪工業大学)
以上.
(2025/2/19掲載)