画像処理による医用超音波画像のノイズ除去手法を提案する.超音波画像にはスペックルと呼ばれる斑状ノイズが多く重畳しており,診断の信頼性向上のためにはその除去が課題となる.従来の調和解析に基づくノイズ除去では,展開係数におけるノイズ成分と組織境界などの信号成分の分離が不十分であり,高いノイズ除去性能が得られなかった.この問題を解決するため,有向無閉路グラフ(DAG)構造データの解析手法であるMulti-link waveletと,信号成分の形状に合わせて適応的に画素を間引くサンプリング方式を組み合わせた手法を展開する.高性能な調和解析として知られるGroupletを従来手法として提案手法との比較検証を行い,提案法がノイズ除去と信号保存の両立において優れた性能を有することを立証した.
宮本 敦,中平健治
(株)日立製作所 研究開発グループ