近年,ロボットによる3 次元環境地図構築の分野では,Kinect に代表されるような安価で手軽に使用できる距離画像センサの利用が注目されている.しかし,同センサは高精度な測定を目的としたセンサではないため,取得した深度情報に歪みが生じるといった課題を有している.著者らは先行研究において,屋内環境を移動するロボットを対象とし,自律的かつ高精度な3 次元環境地図の構築を目的とした距離画像センサの較正手法に関する検討を行った.その結果,距離画像センサの深度の誤差はセンサの個体ごと,画素ごとに異なることを明らかにした.また,センサから得られる深度と実際の深度の比率には線形関係が存在することを明らかにし,近距離用及び遠距離用の2 種類の線形関数を導出することにより深度の補正が可能であることを示した.しかし,先行研究では,遠距離を対象とした距離画像データの歪みが大きいため補正結果の精度が低いこと,また,近距離用と遠距離用の補正式の境界が不連続であり,誤差が生じるといった課題を残した.そこで本論文では,距離画像センサの較正手法に改良を
加え,補正後の環境地図の精度について比較検討を行った.
石井雅樹† (正会員) 藤野慎也† 佐藤俊太朗†
† 秋田県立大学