本論文では, 線分表現に着目した鉛筆画像生成法を提案する. 提案法では, 鉛筆画像の輪郭をペンシルストロークマップで生成し, 濃淡をLIC 法(Line Integral Convolution) で生成する. 両方式は, いずれも鉛筆画の線分表現に優れているという特徴がある. ペンシルストロークマップは, 短い線分の重ね描きにより優れた鉛筆画像の輪郭を生成できるが, 図形の大きさに対して線分長が長すぎる場合, 得られる輪郭が形状を損なうという問題があった. この問題について, 本研究では入力画像を図形の大きさ毎にモルフォロジー演算で分類し, 複数の線分長で輪郭生成を行うことで改善した. また, LIC 法は入力画像の濃淡に基づいて, 鉛筆画の基本技法であるハッチングを良好に生成できる. 本研究では, さらに, このハッチングを重ねることでクロスハッチングが実現でき, 平滑化フィルタを適用することでブレンディングが実現できることを示した.提案法では, この二つの方式を組み合わせて高品質な鉛筆画像を生成する. 実験では, 複数の従来法と比較し,提案法の有効性を示す.
吉田大海† (正会員)
† 大阪大学大学院基礎工学研究科