デジタルアーカイブ化された歴史的建造物をCGによって再現する際,写実性を高めるためにはどのような情報が有効かを明らかにするために,三菱一号館(東京,千代田区丸の内)と東京大学医学部附属病院内科研究棟(東京,文京区本郷)の2件のCG再現を通して検討を行った.前者はすでに解体され現在は復元が行われているものであり,後者は解体工事が開始される直前でまだ現物が残っている状態である.前者のCG再現は解体時に保存されていた設計図面や写真・文献資料と復元を請け負った建築設計事務所担当者からのヒアリングで行い,後者については設計図や写真とともに現場に出向いて必要な情報を収集することにより実施した.その結果,再現されたCG 画像のリアリティに大きく影響を与える要素はディテール情報と素材情報であることを明らかにした.本論文では両者の前提条件の相違に基づきその詳細を述べ,高度なCG再現において有効と思われる情報と効率的再現作業手法について述べる.
内藤旭惠*,**,重藤祐紀**,堀川華波**,岡本哲志***,坂井滋和**
*静岡産業大学,**早稲田大学,***法政大学