キャッシュ型映像配信システムの配信負荷を軽減するために,キャッシュ映像管理法が検討されている.複数品質の映像配信法では,階層データを利用した映像管理法が求められるが,時間的なアクセス数の増減,映像の更新や人気変動などの実用的な変動モデルにおいて,優先度推定誤差が発生する場合があり,キャッシュ効率低下の課題がある.そこで本稿では,実用的な時間変動モデルを定義し,優先度推定誤差を抑制する適応的優先度推定法を用いた映像管理法を提案する.推定誤差の発生状況について考察し,変動状態に対応した適応的優先度推定法を示す.本稿では,線形近似関数,2 次近似関数,指数近似関数の3 種類を用意し,推定値の増減状態により,優先度推定誤差によるキャッシュ効率低下の課題の回避を狙っている.評価実験により,各近似関数を独立に扱う従来手法に対して,提案法がキャッシュ効率の低下を抑制できることを明らかにする.また実験結果より,時間変動モデルにおいて,従来法ではキャッシュ効率が低下している時間帯にキャッシュヒット率を最大18.49%改善できるとともに,平
均5.08×10−1%向上できることがわかった.
児玉明† , †† (正会員)
† 広島大学大学院総合科学研究科, †† 広島大学情報メディア教育研究センター