● 発表論文誌BSTJ [a13] に掲載されているカラー記録画。カラーファクシミリの実験報告としては最も古いと思われる。口絵に飾られているので原典を手にしないと見落とす。
「真空管や光電管を使う、今の時代の写真電送が生まれましてから、初期に問題となったのが四つあるのです。一つはアメリカのベル電話研究所の方式(ATT
式)、次はドイツに生まれた方式(シ−メンス式;Siemens-Karolus-Telefunken:SKT式)、それからフランスに生まれたベラン(Belin)式と、その当時日本で作ったNE式とであります」と丹羽先生が電写研究会で話されている(d87)。
ATT 式では、送信画を写真フィルムに変換したものを送信原稿とし、フイルム透過光を受けて光電変換する。受信は電磁機械的光弁(Light
Valve)を用いて電光変換して記録する。写真光学的に3色に分解したフイルムで送信原稿を作成し3回に分けて送信し、受信後に3枚のフイルムを合成したカラー記録画である。
論文には、署名、指紋、日本文字など、ファクシミリの利用が有効と思われるいくつかの受信画例が示されているが、ニュース写真としてはクーリッジ大統領の宣誓式が掲載されている。日本の写真電送も昭和天皇の即位式から始まっていることと対比して興味深い。
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