2005.3.23更新 終了しました 著者らによる『カラー画像処理とデバイス』解説 趣 旨 画像を取巻く環境が大きく変貌しつつある中、技術者・研究開発者には技術の総合的な把握が必須となってきております。そこで、画像電子学会では本学会誌 (2003年 No.3〜2004年 No.2)に連載された技術解説を基にこのほど書籍化された「カラー画像処理とデバイス」を教科書とするセミナーを企画いたしました。本セミナーではこの書籍の内容を複数回にわけ、本分野の第一線で活躍する著者の方々らにより、書籍には記述できなかった勘所なども交え、基盤となる技術から最新の最先端技術までを紹介していただく予定です。第1回目は中でも現在、大きな影響を与えつつあるモバイル関連動向に着目した企画と致しました。このため、特別基調講演も企画しております。ふるってご参加されるようお願い申し上げます。 「カラー画像処理とデバイス」 http://www.tdupress.jp/cgi-bin/html.cgi?i=ISBN4-501-32440-6 対 象 ・ カラー画像処理とデバイスに関する断片的知識を整理し、最新の技術動向を習得したい方 ・ 新しいビジネスの可能性を探りたい方 ・ 企業の第一線で活躍されている方、および入社数年の研究開発者・技術者の教育用にもご利用ください。 開催日時: 2005年3月14日(月) 9:30−17:35 開催場所: 工学院大学 新宿校舎 11階 第5会議室 参 加 費 :会 員 (賛助会員、協賛学会会員を含む) 12,000 円 学 生 (大学院学生を含む) 4,000 円 非会員 15,000 円 1名につき、書籍「カラー画像処理とデバイス」定価4,305円(税込み)及び簡易テキスト代を含みます(書籍費用は割安になっております)。参加者にはカラーで見やすいCD-Rによる講演資料の電子ファイル(パスワード付)も用意する予定です。書籍を必要とされない場合の参加費はそれぞれ会員10,000円、学生3,000円、非会員13,000円です。申し込み時にご連絡ください。 書籍付のお申込みは、出版社の特別なご好意により、3/3から3/14まで延長いたしました。 定 員 : 120名 (定員になり次第締切りますので、お早目のお申し込みをお勧めします。) お申込み先等 : 〒 105-0012 東京都港区芝大門1-10-1 全国たばこビル6F 「第1回プロ養成セミナー事務局」 TEL:03-5403-7571 FAX:03-5403-7572 E-mail:kikaku@iieej.org ・下記事項をご記入の上、FAX又はE-mailにてお申し込み下さい。 参加者氏名、会社/大学/団体名、所属部課名、資格(会員/学生会員/非会員 協賛学会名など)、 連絡先(郵便番号、住所、電話、FAX、E-mail など)、書籍付の有無、請求書の有無 主 催:画像電子学会 協 賛 :日本印刷学会、日本画像学会、日本写真学会、映像情報メディア学会、情報処理学会、 電気学会、電子情報通信学会、 CG-ARTS協会、SCCC学会 プログラム 2005 年 3 月 14 日 ( 月 ) -------------------------------------------------- 9:30− 9:35 開会挨拶 河村尚登(キヤノン) 座長:河村尚登(キヤノン) 9:35−10:50 特別基調講演 モバイルが変える画像技術 三宅 洋一(千葉大学) −高精細カラー画像の記録再現とその応用− 高速広帯域ネットワーク環境の整備,パソコン,携帯電話や多様なプリンターシステム,ディジタルカメラの普及により写真,印刷,テレビ,ファックス,コピーなど長い伝統を持つ画像メディアはアナログからディジタルへ,メディアの融合へと大きく変貌しつつある.また,カメラつき携帯電話による高精細カラー画像の送受信,リアル画像とCG,VRの融合,合成についても活発に研究が行われている.これらの技術は電子商取引,電子博物館,電子化粧,医療−トレーニングシステム,防犯システムなどに応用され多くの新しいビジネスも生まれつつある.本講演では,筆者の研究室で最近行っている高精細カラー画像の記録,再現,解析の基礎とその応用についてわかり易く解説する. 10:50−12:05 液晶ディスプレイとカラー画像処理 結城 昭正(三菱電機) −液晶の性能を引き出す画像データ処理− 液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)は、外部電界で制御の可能な厚さ数μmの液晶層の複屈折性を利用した光透過率制御型の表示デバイスである。液晶自身は発光機能を有しないため、光源としてバックライトを備えることが必要であるが、発光効率の高い光源を用途に応じて選択できる点がメリットであり、冷陰極管ランプやLEDを用いて5〜10lm/Wの高い輝度効率を実現できている。また、周囲光を利用した反射型ディスプレイにも応用でき、液晶の駆動も数ボルト程度の低電圧で行えるため、省エネルギー表示デバイスとして、携帯電子機器や家庭用TVのディスプレイとして用いられ始めている。 ここでは、最も普及しているカラーTFT駆動透過型LCDを例に、液晶ディスプレイを構成する主たる要素技術である液晶モード、TFT駆動素子、バックライト、信号処理技術に関して解説を行う。 これまで、LCDメーカはもちろん、液晶、光学フィルム、半導体プロセス装置、成形部材など、多くのメーカの力が合わさり、LCDの画質は大幅に改善されてきた。現在はTVへの応用を目指し、動画質の改善、大型化、低コスト化が押しすすめられている。さらに、携帯電話用に反射型LCDが開発され、ガラス基板のフレキシブル化、さらには立体LCDの開発も行なわれている。 LCDには他のFPDには無い光変調素子と光源との組み合わせという自由度の高さがあるため、ニーズに対応した変化が可能である。今後も、様々な分野の技術者の参画により利用領域が広がり一層の発展が続くと期待される。 ---------------------------------休憩------------------------------------- 座長:関沢秀和(東芝テック画像情報システム) 13:30−14:45 バブルジェット型カラーインクジェットプリンタ 中島 一浩(キヤノン) −高速・高画質プリント実現のためのキーテクノロジー− インクジェットプリンタはインクの微小な液滴によって画像を形成している。最近の写真画質インクジェットプリンタでA4サイズいっぱいにプリントした写真画像は数億にものぼる微小ドットから構成されている。インクジェットプリンタでは、これらのおびただしい数のドットの一つ一つを極めて正確にかつ高速に繰り返し吐出して記録している。 インクを吐出させる圧力発生源としては、1970年代まではもっぱら圧電素子を用いる方式を中心に研究が進められていた。しかしながら、当時は圧電素子は実用化に対していくつもの大きな課題を抱えており、様々な模索が続けられていた。キヤノンでは、1970年代半ば、限界を突破するための新しい方式を模索するうち、熱を使ってインク滴を吐出する新しい方式を開発した。この方式は、"バブルジェット(Bubble Jet)"、または"サーマルインクジェット(Thermal InkJet)"と呼ばれている。 本講演では、特にバブルジェット方式の吐出メカニズムとその特徴を解説し、さらに銀塩写真と遜色ない画質のL判プリントをわずか20秒で印刷するまでに進化した最新のバブルジェット技術のツボを紹介する。 14:45−16:00 携帯電話向けカメラモジュールの技術動向 岡田 吉弘(三洋電機) −多画素化と低背化の両立- 2000年にはじめて携帯電話に11万画素(CIFフォーマット)のカメラが搭載されてから、画素数は30万、100万画素と飛躍的に増加し、最近では300万画素を搭載したカメラ付き携帯電話が発売されている。また、2009年には全世界の90%の携帯電話にカメラが搭載されるという調査結果も出ており、ますます携帯電話向けカメラモジュールは発展していくと考えられる。ここでは、携帯電話向けカメラモジュールの今後の動向について、カメラを構成するイメージセンサー、信号処理LSI(以下DSP)、レンズを含む光学系を中心に解説を行う。 2.イメージセンサーの動向 イメージセンサーの種類、構造について説明を行い。今後の携帯電話用のイメージセンサーに求められる課題、多画素化と低背化(小型化)を両立するための技術について解説を行う。特に、各種イメージセンサーの画素サイズの限界、画素を縮小するときのメリットと課題およびその対策について説明を行い。最後に今後の携帯電話向けイメージセンサーの方向性について述べる。 3.DSPの今後の動向 携帯電話を買い換えるユーザーの携帯電話を選ぶポイントは、高解像度カメラがついていることとデザインである。そのポイントから携帯電話の搭載されるカメラモジュールの機能は、デジカメに近くなる。一方で、携帯電話に搭載されることから、バッテリーの制限があり、同時に低消費電力化が求められる。低消費電力化の技術について解説を行い、最後に今後ますます強くなるデジカメ志向の携帯電話向けカメラに求められる機能について述べる。 4.光学系の今後の動向 レンズを含む光学系においては、低背化とデジカメがキーワードとなる。そのために、オートフォーカス、光学ズーム、メカニカルシャッタは必須で、これに低背化の技術が今後ミックスされていく。また、多画素化と同時に進む画素の縮小により、レンズの解像度限界も課題なる。これら課題と今後の技術について解説を行う。 5.まとめ 最後に今後の携帯電話向けカメラモジュールの方向性をまとめる。 ---------------------------------休憩------------------------------------- 座長:鈴木 博顕(リコー) 16:15−17:30 異機種間でのカラーマネージメント 梶 光雄(画像電子学会 顧問) 嘗て、画像データの表示や良質のハードコピーを提供することは従来、プロだけが行う仕事であった。近年、デジタルカメラや携帯電話のカメラ、パソコン、大容量記録媒体、カラープリンタ等が民生機器化し、インターネットが普及したことで、画像の取り込み、交換・蓄積、プリントが個人のレベルでも容易に行える手段は整ったが、組合せの機種を問わずに、きれいな或いは好ましい画像を出力することは必ずしも容易でない現実がある。 原画とプリントを直接照合できない環境では、1)色を表現する信号値が機種に依存しており、2)画像システムを構成する機種ごとに、表現できる色域が異なり、3)ネットワークで伝達されるカラー画像情報の表現方法が共通化されていない、というようなことが、不具合の原因である。 そのため、異機種間でのカラー画像データの交換ではこの不具合を解消するためのカラーマネジメント システム(CMS)が必要である。 この講演では、CMSでは測色がベースにあり、どのような「色再現」を求めるかについてHunt の色再現目標を紹介し、CMSにおける「色分解と色再現」においては、ICC規格におけるPCSの概念と標準色空間について、CMSのための「標準化」においては、ディスプレイとプリントの色再現域の違いなどについて解説する。 17:30―17:35 閉会挨拶 松本充司(早稲田大学) ---------------------------------------------------------------------- |