終了しました 2005.4.29更新 画像電子学会Advanced Image Seminar 2005 ビジュアル・ネットワークを支える技術 −メディアセキュリティの最新技術動向− 爆発的に普及しているカメラ付き携帯電話をはじめとして、モバイル技術に支えられたビジュアル・ネットワーク社会が到来しつつある。このような状況の中でネットワーク社会の安全性を確保するための技術開発は、個人情報の保護や情報インフラストラクチャの保全を計る上で極めて重要な課題である。 このような背景を鑑み、Advanced Image Seminar 2005では、昨年度の「画像情報の圧縮と配信」をテーマにした「ビジュアル・ネットワークを支える技術」に引き続いて、「メディアセキュリティ」を中心テーマに、関連技術の基礎から応用まで各方面の第一人者に解説して頂きます。 主 催: 画像電子学会 協 賛: (社)電子情報通信学会、(社)情報処理学会、(社)映像情報メディア学会、(社)印刷学会、(社)日本画像学会、(社)日本写真学会 開催日: 2005年4月22日(金) 場 所: 工学院大学新宿校舎 3階講堂 (新宿西口より徒歩6分) 参加費:
申込先: 画像電子学会事務局 〒105-0012 東京都港区芝大門1-10-1 全国たばこビル E-mail: kikaku@iieej.org URL: http://wwwsoc.nii.ac.jp/iieej/trans/kenaf.htm ・下記事項をご記入の上、FAX又はE-mail又はホームページからお申し込み下さい。 参加者氏名、会社/大学/団体名、所属部課名、資格(会員/学生会員/非会員など)、郵便番号、住所、電話、FAX、E-mail 【プログラム】 ○基調講演 9:00〜9:50 メディア・セキュリティ:デジタル時代の著作権流通技術 曽根原 登(国立情報学研究所) 要旨: 情報を主要な財とする流通市場の活性化には、コンテンツの不正コピーに代表される著作権問題、テレビでは見ることのできないネット固有のコンテンツ不足の問題、デジタル流通モデルの変革、デジタル時代の要請にこたえる法制度など、様々な問題を解決しないといけません。このような問題を、広義の「情報セキュリティ」、狭義の「メディア・セキュリティ」の問題としてとらえ、コンテンツの創作にかかわる技術やコンテンツ・ファンドの仕組み、コンテンツ流通モデルやデジタル権利管理方法、そしてコンテンツの信頼性評価方法、などについて論じます。また、具体的な取り組みとしてのデジタルシネマ流通(d-シネマ・コマース)ついても述べます。 ○一般講演 9:50〜10:30 移動通信と情報セキュリティ 本郷 節之(NTTドコモ) 要旨: 移動通信では、無線という通信媒体の性質や、オープンスペースでの利用が基本であるという通信形態の特徴から、セキュリティ対策が極めて重要である。その一方で、各種セキュリティ技術を活かした新しいサービスも続々登場し始めている。更に、NTTドコモでは、今後のコミュニケーションスタイルを変えていく可能性を秘めた新しいセキュリティ技術の研究も進めている。これらの技術的側面に加え、移動通信オペレータとして、多数のお客様の個人情報を預かることから、充分な情報管理も要求される。本講演では、これら移動通信に関わるシステムセキュリティやセキュリティマネジメントの考え方、セキュリティ応用サービス、ならびに、セキュリティ関連のいくつかの研究を紹介する。 10:40〜11:20 ブロードバンドにおけるコンテンツセキュリティ 廣田 啓一(NTTサイバースペース研究所) 要旨: 近年、ブロードバンド環境の急速な普及にともなって、VideoOnDemandやPayPerViewなどのコンテンツビジネスが活発化しつつある。その一方で、DVDやCDなどの商用コンテンツのカジュアルコピー、ネット上での不正な交換が横行し、著作権の侵害も深刻化している。本講演では、「ブロードバンドにおけるコンテンツセキュリティ」と題して、コンテンツ配信ビジネスの現状、コンテンツ不正利用の実態などを踏まえた上で、コンテンツセキュリティ技術の動向や課題、今後の展望を紹介する。 11:20〜12:00 ディジタル放送における権利保護技術 真島 恵吾(NHK放送技術研究所) 要旨: 2000年12月のBSディジタル放送開始に続き、2003年12月1日から地上波放送のディジタル化が始まっている。地上ディジタル放送は、東京、大阪、名古屋の3大都市圏からスタートし、2006年末までにはその他の地域でも順次放送が開始される予定であり、我が国も本格的なディジタル放送時代に突入している。ディジ タル放送により、高画質なハイビジョン番組や便利なデータ放送を家庭で身近に楽しむことができる。さらに、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)や光ファイバーなど高速・広帯域の通信インフラの急速な普及により、放送と通信の連携による高度な情報サービスへの期待も高まっている。放送と通信を融合した次世代の高度な情報サービスを実現し、ディジタルコンテンツの流通を促進するためには、ユーザーの利便性向上を目的とした標準化を図るとともに、ディジタルコンテンツの安全・安心な利用を目的とした権利保護に関する技術課題を解決する必要がある。本講演では、主としてディジタル放送により実現されるサーバー型放送とディジタル放送や将来の放送サービスで不可欠となるコンテンツの権利保護技術について、わかりやすく解説する。 13:00〜13:40 タウンセキュリティにおけるバイオメトリック技術の最新動向 瀬戸 洋一(日立製作所) 要旨: 最近、顧客情報の漏えいの問題が新聞の記事として載る日が多い。個人情報の安全な管理 のためには、暗号化、ユーザ認証、アクセス権制御が重要である。また、偽造パスポートなどによる不正入国を防ぐためバイオメトリクスを実装した電子パスポートも発行される予定である。バイオメトリクスは、究極の個人情報であるため、高信頼なユーザ認証を実現できると言われている。しかし、バイオメトリクス自身が究極の個人情報であるがため、その取り扱いは非常に難しい。 本講演では、タウンセキュリティにおけるバイオメトリック技術の動向と社会的技術的な課題に関し解説する。 13:40〜14:20 電子商取引における電子署名活用の展望 前田 陽二(電子商取引推進協議会) 要旨: 1.電子商取引とトラブルの状況 国内の電子商取引は、B2B, B2Cともにその取引高は順調に伸びている。その伸びとともに、取引におけるトラブルも増えている。電子商取引推進協議会では、ECOM ネットショッピング紛争相談室(ADR:Alternative Dispute Resolution)を設置しB2Cに関するトラブルの対応を行っている。ここで扱ったトラブル事例などを紹介する。 2.電子認証と電子署名 電子商取引のトラブルを防ぐ手段のひとつとして電子認証や電子署名がある。電子認証と電子署名の用語を整理した上で、電子署名の仕組み及び署名で使われる公開鍵基盤(PKI:Public Key Infrastructure)について解説する。 3.電子署名文書の長期保存 電子署名は実印と比較して説明されることが多い。最も大きな違いは、電子署名を作成するための秘密鍵に3年とか5年程度の有効期限があることである。そこで、10年、20年保存が必要な電子文書をどのような方法で保存するか、重要なテーマとなっている。電子商取引推進協議会で検討してきた内容について紹介する。 4.電子商取引における電子署名利用上の課題と展望 電子入札など電子政府について電子署名は利用されつつあるが、B2B,B2Cにおける電子商取引では、まだ広く使われてはいない。電子署名利用上の課題と展望について述べる。 14:20〜15:00 電子透かしの最近の話題 伊藤 浩(三菱電機) 要旨: 映像や音楽などの電子化されたコンテンツを公平に流通させるための技術として電子透かしが注目されてきた。しかし、2000年前後を中心とした相次ぐ製品化と標準化の動きは、ここにきてやや後退した感がある。電子透かしの実用化を阻む問題は何なのか?本講演では、まず、映像信号の電子透かしとして一般に知られている手法を、デモを交えて紹介する。次に、電子透かしの持つ問題点を考察し、最近の学会などにおける研究動向の中から今後の技術開発の方向性を探る。特に、従来アルゴリズムの秘匿性に依拠してきた電子透かしの安全性の問題とそれを解決しようとするアプローチに言及したい。 15:20〜16:00 ユビキタス時代の暗号技術 松井 充(三菱電機) 要旨: 暗号技術は古くは軍事・外交のための技術であったが、近年はプライバシー保護という新しい役割を担って広くオープンな研究開発がなされるようになり、現在では暗号技術はネットワーク社会を支える不可欠な技術として幅広く用いられている。暗号技術で実現できることは、情報の秘匿だけではなく、情報の改ざん防止や、相互認証など幅広い。したがってその応用も、例えば携帯電話、車のキーレスエントリー、鉄道乗車券、高速道路料金システム、放送システムなど多岐にわたっている。本講演では、このような暗号技術の応用の具体例を示すとともに、現在広く用いられているいくつかの暗号方式(暗号アルゴリズム)の紹介と歴史的背景の解説、ならびに、国内外でおこなわれている暗号の標準化動向について述べる。 16:00〜16:40 2次元コードとモバイルメタデータベースシステム 北川 高嗣(筑波大学) 要旨: 現在まで世界で120種類以上の2次元コードが開発されている。そのうち、世界標準(ISO)として認められているものは、QRコード、Maxi Code、PDF417(シェア最大)、Data Matrix の4種である。 現在広まりつつあるQRコードはデンソー開発のISO標準であり、携帯電話のキャリアであるドコモ、auが標準として採択し、そのデコーダが今後全ての携帯機に標準で搭載されることになっている。標準化されていないプライベート2次元コードは、オリンパスのSTコード、富士通のインタラクタコード、松下のDDコード、富士ゼロックスのグリフコードなど多数存在している。モバイルメタデータベースシステムであるメディアスティックは、ネットワーク上の取引をセキュアに実行完結する、「メタデータベースシステム」のモバイル版である。メディアスティックシステムは、メタデータベースシステムが、完全にセキュアな環境下で動作するようQRコードをカスタマイズしたMS-CODEをユーザインターフェイスとして採用している。実際に、メディアスティックシステムは取引毎に事業者の認証、ユーザの認証を行い、取引データを構成するが、1件の取引データを守るために10個以上の暗号キーを管理発行している。このため、MS−CODEは偽造・改ざん不能である。またメタサーバ上で、あらゆる情報は、生データの形で一切見ることは出来ないのはもちろんのこと紐付けすることが出来ない。これは、e-JAPANで採択されたシステムを元にさらに、ブラッシュアップしたものであり昨今話題のサーバから個人情報が抜かれる可能性が極めて低い。MS−CODEは、QRコードに対する上位互換性を持つ。サイトへのアクセスはもちろんのこと、予約、資料請求、ダウンロード、会員認証、課金、決済などの行為までをセキュアな環境で、一様なインタフェイスで実現できる。また携帯読み取りによる認証行為は、誌紙面はもちろん、パソコン、液晶パネル、デジタルテレビなどのディスプレイ上においても可能である。このためセキュアな統合的なメディア環境を構成することが可能となる。 |