画像電子学会 第23回VMA研究会
2008-12-01
小町 祐史 | 鈴木 俊哉 | 長村 玄 | ||
Yushi KOMACHI | Toshiya SUZUKI | Gen NAGAMURA |
情報処理学会情報規格調査会は,2007年11月に傘下の学会試行標準専門委員会に次に示す試行標準(TS: Trial Standard)の開発を行う方針を決め,作業グループWG7小委員会[1]を設立して,開発作業に着手した。
これまでに当初に予定した課題をすべて議論したわけではなく,さらに継続検討が必要であるが,約1年間の活動の範囲をまとめて試行標準委員会WG7小委員会の委員以外の多くの関係者のレビューを受けることはこの試行標準(TS)の内容充実に不可欠と考え,フォント関連情報処理の最新動向をテーマとする画像電子学会第23回VMA研究会への寄稿することにした。
学会試行標準の構成として,次に示すclause構成を計画している。
以降に主要なclauseについてその概要を示す。
フォントアプリケーションによるフォントの指定を行うとき,最も単純にはフォントリソース名による指定が採用されるが,フォントリソース名では書体の類似性や代替可能性を正しく判断できない。
フォントアプリケーションによるフォントの指定(選択・代替・置換)のために,フォント情報交換規格であるISO/IEC 9541(国内ではJIS X 4161~4163)はフォント参照と呼ばれる属性集合を規定している。しかしISO/IEC 9541-2に用意されたフォント参照では,書体の記述は不十分である。例えば,ISO/IEC 9541-2 のフォント参照は,指定したいフォント資源のインスタンスの属性を示すだけであって,そのフォント資源を選択した文書作成者の意図を表す属性は用意されていない。文書交換系でフォント参照の利用者が文書作成者の意図を知って適切なフォント資源を選択するには,ISO/IEC 9541のフォント参照の上位概念を扱う属性をも含むことが望まれる。ISO/IEC 9541のフォント参照においては,後の拡張性が考慮されているが,未だにそのフォント参照の拡張は議論されていない。
書体属性記述方式としてMonotypeによるPanose分類があるが,Panoseは欧文書体に特化しており,ラテンアルファベット以外の文字に関する書体記述には不十分である。
そこでISO/IEC 9541のフォント参照の拡張を目標として,既存のフォントの指定・選択・代替に求められるフォント属性を調査し,フォントリソースの参照方式のTSとして公表することが,フォント業界およびフォント利用者から要求されることとなった。
文書を作成・交換・表示する際に,そこで用いるフォントをリソース名だけでなく,そのフォントを 表現する各種フォント属性をも用いて指定することによって,次の事例でのフォントリソースの特定 を容易にすることが望まれる。
この試行標準は,これらの事例における利用者要求に応えるフォント指定(選択・代替・置換)を可能 にするためのフォント属性をフォントアーキテクチャの一部として規定し,その集合をフォント参照 として規定する。フォント参照情報からフォントリソースを選択するためのアルゴリズムおよびそれ を利用者に提供するための利用者インタフェースを規定する。
ISO/IEC 9541は書体デザインを示す属性として,デザイン名,ファミリなどを用意している。Annex 1の書体デザイン分類はデザインだけを分類基準としているわけではなく,歴史的経緯が含まれる。ここでは,図形的特長に基づく書体デザインを示すフォント属性を検討し,フォント代替に際しての参照情報とすることを狙う。
フォントの混植に際しては,必ずしも図形的特長に基づく書体選択だけが行われるわけではなく,少ないほうの言語部分を幾分強調して,浮き立たせることを狙うこともある。しかし概ね図形的特長に基づく書体選択が適用されると考えて差し支えない。
現在,(かなを含む)漢字書体と(漢字を含まない)かな書体の2つの側面から書体デザインの図形的な 特徴を捉えるための議論を進めている。書体の特徴を何によって捉えるかという議論は古くからあり, 本年度前半は主としてこれらの文献調査と実効性を調査した。
特定のベンダの製品サンプルを越える書体分類は多くない。 最近の例として 小宮山博史による分類[4]と 祖父江慎による分類[5]を比較した。 小宮山分類は装飾書体の, 祖父江分類は本文書体の詳細な分類に力点を置くという違いがあり, そのため分類の粒度はかなり異なっている。 しかし,近年の和文基本書体となっている明朝体,ゴシック,丸ゴシックの分類に関しては, 表現名称は異なるものの,大まかな分類として金属活字からデジタルフォントへの流れの中で
また,これらの既存の分類ではあまり強調されていないが, デジタルフォント以降の本文書体のデザイン傾向の流れへの反発として, 金属活字の覆刻に基く系統が存在する。 これらを金属活字の系統に分類するべきか,さらに新しい流れとして 独立に分類するべきかは判断が難しい。
現在の和文文書はその大半を平仮名が占めている。また,平仮名はその線画の少なさのため, デザインの違いが漢字よりも目につき易いと考えられる。 しかし,かな書体を基本として和文書体を分類して良いかどうかを考える時, かな・漢字を両方とも含む書体を取った場合, かなのデザイン傾向と漢字のデザイン傾向がどの程度符合しているかが問題となる。 かなと漢字のデザイン傾向に何も関連性が無ければ,個別に分類しなければならないからである。 そこで,かな・漢字の両方を含むフォントを,かなに注目してかな書体として分類した結果と, 漢字書体として分類した結果の両方を示している祖父江分類で調査した。 その結果,かな・漢字とも上述の歴史的な変化に注目した分類になっており, 区分の取り方が一致していることが分かった。
上で述べたように,フォントのデザインの時代的な変化としてふところを広く取る 傾向が複数の書体研究者に指摘されている。そこで,字形の詳細な図形的特徴に 注目する前に,より一般的な特徴としてメトリックの変化について調査した。 その結果を下図に示す。縦軸は仮想ボディの高さに対する割合,横軸は仮想ボディの 幅に対する割合である。それぞれ1が仮想ボディいっぱいを意味する。 同一書体でウェイトが異なるものがある場合には, 色を変えて同じ図の中に示した。
リョービ築地のかなメトリック
リョービ本明朝のかなメトリック
リョービ平成明朝のかなメトリック
ダイナラブ華康明朝のかなメトリック
図1 メトリックの変化
調査の結果,メトリック最大値に関しては目立った変化がないが,
例外として,平成明朝より後にデザインされたダイナラブの華康明朝は金属 活字のように大きな分散を持つが,その分布は金属活字とは微妙に異っている。 この差を直接に評価すべきか,あるいは字形の詳細な違いに踏み込んで分類 すべきかは検討が必要である。
9541-1 Anx1.の書体デザイン分類はデザインだけを分類基準としているわけではなく,歴史的経緯が含まれる。純粋なデザインの上位概念としての"印象"に基づく分類もあり得る。分類ノードの名前は書体名ではない。しかし書体名も書体分類のノード名も固有名詞であり得る。これらの状況把握に基づき,書体分類と分類ノードの検討を行った。
(1) 本試案は,ベースとして日本事務機械工業会・実装規約小委員会「日本語フォント実装規約」(案)の分類[6]を用い,ISO/IEC 9541の分類との整合性も考慮した。
(2) 「日本語フォント実装規約」分類案に倣い,分類は3階層とした。そのため,とくにディスプレイタイプの分類ではデザインの特徴を分類上で細分化できなかった。最終的には階層を増やす必要があると思われる。
(3) 用途が明確な書体,たとえば「新聞用書体」,「映画字幕書体」は分類上,区分した。しかし,OCR書体,ステンシル書体は,単に同種のものであればよいという判定はできず,個々の書体特性に依存するものと考え,分類を分けなかった。
フォントベンダーによっては「学参書体」を別分類とし,書体名称に用いているものもあるが,「学参用」を特化する弊害もあり,ここでは無視した。
(4) 明朝体,角ゴシック体,丸ゴシック体に関して,クラシック/モダンの区別を新設した。「スタンダード」は規定しなかった。何がスタンダードなのかという基準は決められないからである。 また,オールド/ニューという呼称も採用しなかった。一般的に「オールド」という表現は多用されており違和感は少ないが,「ニュー」は様式名称に馴染まない。
ここでは,アナログ時代の様式を踏襲しているものを「クラシック」に,デジタル時代に入ってから出現した様式を「モダン」に分けたが,その中間的特長を備えたものもあり,明確な基準は設定できていない。
ディスプレイタイプの分類においては,アナログ時代から存在するデザインと,デジタルフォント全盛になってから生まれたものがあるが,これらはクラシック/モダンの区別を行うことをしていない(ユーザーニーズとして存在していない)。
(5) 明朝体(漢字)は,アナログ時代の書体を覆刻したものは当然「クラシック」であるが,原則として背勢処理がなされている明朝体は「クラシック」に分類した。
明朝体の定義も区々であるが,ここでは三角形のウロコを持つことを必須とした。したがって,カタオカデザインワークスの「丸明オールド」は三角形のウロコを持たず,モトヤの「アポロ」もウロコを持たないという特徴によって,ユービックの「ユニスクェア」は角ウロコを持たないという特徴によって,それぞれ明朝体に分類しない。一方,リョービイマジクスの「ナウ-M」は明朝体に分類している。
「モトヤ明朝」はごくわずかな背勢処理がなされているストロークもあるが,実用文字サイズでの視認性を配慮し,「モダン」に分類した。
(6) 明朝体(かな)については,アナログ時代の書体を覆刻したもの,古い書家の作品をアレンジしたものは「クラシック」に分類した。さらに,デジタル時代になってから誕生した書体であっても,縦組適性重視の思想を持ったものは「クラシック」とした。逆に言えば,横組適性重視の書体はすべて「モダン」とした。
リョービイマジクスの「良寛」,「小町」,「行成」などは明朝体,ゴシック体と混植される前提で設計された字形デザインであるが,あくまでも形状特徴から「筆字体クラシック」に分類した。
(7) 角ゴシック体(漢字)についても,背勢処理がなされ,原則として墨溜りを持つゴシック体は「クラシック」に分類した。フトコロの設計など,全体のイメージを活字時代のゴシック体に近似させる手法は,現代には馴染まないため,背勢処理以外の要素でクラシック/モダンを峻別することはしていない。
大日本スクリーンの「ヒラギノ角ゴシック」は,背勢処理はなされているが墨溜りを持たないため,「モダン」に分類した。
(8) 丸ゴシック体(漢字)については,アナログ時代の,フトコロの狭い書体はほとんど見向きがされず,フトコロの広いデザインが主流になっているため,アナログ時代のもの以外は,すべて「モダン」とした。したがって,分類例では写研の「丸ゴシック体」だけが「クラシック」である。
カタオカデザインワークスの「丸丸ゴシック」は,コーナー円の径が極めて大きく,特異な印象を持つ書体になっているため,丸ゴシック体には分類しなかった。
(9) ゴシック体のバリエーションとも看做せる書体の中に,右ハライが「先細り」にデザインされているものがある。たとえばモリサワの「フォーク」,フォントワークスの「ぶどう」など,同様に明朝体のバリエーションとも看做せるダイナコムウェアの「麗雅宋」などである。これらはゴシック系,明朝系とはいえないため,ディスプレイ系書体に分類する。
(10) ディスプレイ書体において,とくに「サンセリフPOP」は,きわめて多様なデザインの書体が割り当てられる。商用キャッチコピー用書体は,「目立つこと」,「新規性が高いこと」などが求められるために分類は大規模にならざるを得ない。
したがって,本来であれば固有分類対象になる「アウトライン」,「シャドー」なども,すべてこの分類の中に入ることになる。これらを組み合せた「アウトライン・シャドー」などの書体も出現するからである。 若干異なるが,モリサワの「カクミン」は明朝体と角ゴシック体の中間書体と位置づけられるが,この分類では「セリフPOP」に分類した。
(11) 独立かなにおいて,分類上は「サンセリフ」を設けたが,現時点では該当書体はない。
1.0.0 | 伝統書体(漢字のあるもの) | 4.0.0 Serifs | ||
1.1.0 | 明朝体 | 4.12.0 Mincho | ||
1.1.1 | クラシック | 4.12.1 Old Style | ||
1.1.2 | モダン | 4.12.2 New Style | ||
1.1.3 | 新聞明朝 | |||
1.2.0 | 角ゴシック体 | 5.0.0 San Serifs | ||
1.2.1 | クラシック | |||
1.2.2 | モダン | |||
1.2.3 | 新聞ゴシック | |||
1.3.0 | 丸ゴシック体 | 5.5.0 Geomesric | ||
1.3.1 | クラシック | |||
1.3.2 | モダン | |||
1.4.0 | 筆書体 | 6.3.0 Soft Brush | ||
1.4.1 | 楷書体 | 6.3.1 Kaisho | ||
1.4.2 | 教科書体 | 6.3.2 Kyokasho | ||
1.4.3 | 行書体 | 6.3.3 Gyosho | ||
1.4.4 | 草書体 | 6.3.4 Sosho | ||
1.4.5 | 隷書体 | 6.3.5 Miscellaneous | ||
1.4.6 | 篆書体 | 6.3.5 Miscellaneous | ||
1.4.7 | 硬筆・手書き風 | |||
1.5.0 | 宋朝体 | 6.5.0 Soucho | ||
1.6.0 | 古印体 | |||
2.0.0 | ディスプレイ書体(漢字のあるもの) | 7.0.0 Ornamentals | ||
2.1.0 | 江戸文字 | |||
2.2.0 | 等線 | |||
2.2.1 | セリフPOP | |||
2.2.2 | ゴシック体系 | |||
2.2.3 | サンセリフPOP | |||
2.2.4 | 硬筆 | |||
2.3.0 | 非等線 | |||
2.3.1 | 明朝体系 | |||
2.3.2 | 硬筆・手書き風 | |||
2.4.0 | 字幕書体 | |||
3.0.0 | かな書体(独立) | 6.4.0 Kana | ||
3.1.0 | 伝統書体 | |||
3.1.1 | 筆字体クラシック | 6.4.1 Old Style | ||
3.1.2 | 筆字体モダン | 6.4.2 New Style | ||
3.1.3 | 明朝体クラシック | |||
3.1.4 | 明朝体モダン | |||
3.1.5 | ゴシック体クラシック | 6.4.1 Old Style | ||
3.1.6 | ゴシック体モダン | 6.4.2 New Style | ||
3.2.0 | 等線 | |||
3.2.1 | セリフ | |||
3.2.2 | サンセリフ | |||
3.2.3 | 硬筆 | |||
3.3.0 | 非等線 |
図2 書体分類
1.0.0 | 伝統書体(漢字のあるもの) | |||
1.1.0 | 明朝体 | |||
1.1.1 | クラシック | 秀英明朝(大日本印刷) | ||
凸版明朝(凸版印刷) | ||||
精興社書体(精興社) | ||||
石井中明朝(写研) | ||||
本蘭明朝(写研) | ||||
リュウミン(モリサワ) | ||||
A1明朝(モリサワ) | ||||
徐明(モリサワ) | ||||
TBクラシック明朝(タイプバンク) | ||||
イワタ明朝体オールド(イワタ) | ||||
ヒラギノ明朝(大日本スクリーン) | ||||
游明朝体(字游工房) | ||||
筑紫明朝(フォントワークス) | ||||
マティス(フォントワークス) | ||||
S明朝体(ニィス) | ||||
1.1.2 | モダン | モトヤ明朝 | ||
イワタ明朝体(イワタ) | ||||
見出しミンMA31(モリサワ) | ||||
光朝(モリサワ) | ||||
ファイン(リョービイマジクス) | ||||
ナウ-M(リョービイマジクス) | ||||
TB明朝(タイプバンク) | ||||
JTCウィンM(ニィス) | ||||
小塚明朝(アドビシステムズ) | ||||
平成明朝体 | ||||
1.1.3 | 新聞明朝 | イワタ新聞明朝体Pro(イワタ) | ||
1.2.0 | 角ゴシック | |||
1.2.1 | クラシック | 凸版ゴシック(凸版印刷) | ||
石井ゴシック(写研) | ||||
ゴシックBBB(モリサワ) | ||||
太ゴB-101(モリサワ) | ||||
モトヤゴシック(モトヤ) | ||||
ゴシック体オールド(イワタ) | ||||
リョービゴシック(リョービイマジクス) | ||||
1.2.2 | モダン | ゴナ(写研) | ||
新ゴ(モリサワ) | ||||
ネオツデイ(モリサワ) | ||||
ゴシックMB101(モリサワ) | ||||
新ゴシック体B(イワタ) | ||||
シーダ(モトヤ) | ||||
ナウ-G(リョービイマジクス) | ||||
ヒラギノ角ゴシック(大日本スクリーン) | ||||
ニューロダン(フォントワークス) | ||||
ロダンPro(フォントワークス) | ||||
筑紫ゴシック(フォントワークス) | ||||
JTCウィンS(ニィス) | ||||
小塚ゴシックPro(アドビシステムズ) | ||||
平成角ゴシック体 | ||||
1.2.3 | 新聞ゴシック | イワタ新聞ゴシック体Pro(イワタ) | ||
毎日新聞ゴシック(モリサワ) | ||||
1.3.0 | 丸ゴシック | |||
1.3.1 | クラシック | 石井中丸ゴシック体(写研) | ||
1.3.2 | モダン | ナール(写研) | ||
新丸ゴ(モリサワ) | ||||
じゅん(モリサワ) | ||||
モトヤマルベリ(モトヤ) | ||||
シリウス(リョービイマジクス) | ||||
ヒラギノ丸ゴシック(大日本スクリーン) | ||||
JTCウィンR1(ニィス) | ||||
細丸ゴシック体(ダイナコムウェア) | ||||
TB丸ゴシック(タイプバンク) | ||||
平成丸ゴシック | ||||
1.4.0 | 筆書体 | |||
1.4.1 | 楷書体 | 紅蘭細楷書(写研) | ||
正楷書CB1(モリサワ) | ||||
正楷書(モトヤ) | ||||
正楷書体(イワタ) | ||||
弘道軒清朝体(イワタ) | ||||
グレコStd(フォントワークス) | ||||
DF顔楷書(ダイナコムウェア) | ||||
DF文徽明体(ダイナコムウェア) | ||||
DF徽宗宮(ダイナコムウェア) | ||||
DF痩金体(ダイナコムウェア) | ||||
DF北魏楷書(ダイナコムウェア) | ||||
1.4.2 | 教科書体 | 石井中教科書体(写研) | ||
イワタ教科書体(イワタ) | ||||
モトヤ教科書(モトヤ) | ||||
ユトリロPro(フォントワークス) | ||||
1.4.3 | 行書体 | 岩蔭行書(写研) | ||
ヒラギノ行書(大日本スクリーン) | ||||
江川活版三号行書(大日本スクリーン) | ||||
祥南行書体(ダイナコムウェア) | ||||
JTC曲水MYU(ニィス) | ||||
1.4.4 | 草書体 | DF草書霜月(ダイナコムウェア) | ||
JTC淡斎草書「濃」(ニィス) | ||||
1.4.5 | 隷書体 | 曾蘭隷書体(写研) | ||
イワタ隷書体Std(イワタ) | ||||
花牡丹-DB(リョービイマジクス) | ||||
DF郭泰碑(ダイナコムウェア) | ||||
1.4.6 | 篆書体 | DF新篆体(ダイナコムウェア) | ||
JTC淡斎篆書(ニィス) | ||||
1.4.7 | 硬筆・手書き風 | 日立つれづれぐさStd R(タイプバンク) | ||
DF金文体(ダイナコムウェア) | ||||
クレーPro(フォントワークス) | ||||
1.5.0 | 宋朝体 | イワタ宋朝体(イワタ) | ||
花胡蝶(リョービイマジクス) | ||||
DF新宋朝体(ダイナコムウェア) | ||||
1.6.0 | 古印体 | 淡古印(写研) | ||
モトヤ古印体(モトヤ) | ||||
康印体(ダイナコムウェア) | ||||
JTC古印体「歌」(ニィス) | ||||
2.0.0 | ディスプレイ書体(漢字のあるもの) | 鈴江戸(写研) | ||
2.1.0 | 江戸文字 | 織田勘亭流(写研) | ||
勘亭流(モリサワ) | ||||
勘亭流(字游工房) | ||||
DF寄席文字(ダイナコムウェア) | ||||
いなひげ(写研) | ||||
古今髭Std EB(ダイナコムウェア) | ||||
DF籠文字(ダイナコムウェア) | ||||
2.2.0 | 等線 | |||
2.2.1 | セリフPOP | カクミン(モリサワ) | ||
DF優雅宋(ダイナコムウェア) | ||||
DF麗雅宋(ダイナコムウェア) | ||||
2.2.2 | ゴシック体系 | ゴナO(写研) | ||
ナールSH(写研) | ||||
スーボ(写研) | ||||
DFひびゴシック体(ダイナコムウェア) | ||||
丸丸ゴシック(カタオカデザインワークス) | ||||
2.2.3 | サンセリフPOP | 石井ファンテール(写研) | ||
ナミン(写研) | ||||
ミンカール(写研) | ||||
フォーク(モリサワ) | ||||
DFブラッシュRD(ダイナコムウェア) | ||||
DFブラッシュSQ(ダイナコムウェア) | ||||
DF POP 2 体(ダイナコムウェア) | ||||
DF綜藝体(ダイナコムウェア) | ||||
キアロ(フォントワークス) | ||||
ロゴJr(視覚デザイン研究所) | ||||
メガ丸(視覚デザイン研究所) | ||||
2.2.4 | 硬筆・手書き風 | ナカフリー(写研) | ||
DFクラフト遊(ダイナコムウェア) | ||||
DFてがき誠(ダイナコムウェア) | ||||
DFペン字体(ダイナコムウェア) | ||||
2.3.0 | 非等線 | |||
2.3.1 | 明朝体系 | アポロ(モトヤ) | ||
アドミーン(視覚デザイン研究所) | ||||
丸明オールド(カタオカデザインワークス) | ||||
2.3.2 | 硬筆・手書き風 | ナカフリー(写研) | ||
はるひ学園(モリサワ) | ||||
2.4.0 | 字幕書体 | 映画字幕書体(キネマ・フォント・ラボ) | ||
3.0.0 | かな書体(独立) | |||
3.1.0 | 伝統書体 | |||
3.1.1 | 筆字体クラシック | 良寛(リョービイマジクス) | ||
小町(リョービイマジクス) | ||||
行成(リョービイマジクス) | ||||
弘道軒(リョービイマジクス) | ||||
3.1.2 | 筆字体モダン | iroha-31 nire(カタオカデザインワークス) | ||
3.1.3 | 明朝体クラシック | 秀英(モリサワ) | ||
リュウミンオールドがな(モリサワ) | ||||
アンチックAN(モリサワ) | ||||
築地(リョービイマジクス) | ||||
築地体仮名(大日本スクリーン) | ||||
游明朝体かな(字游工房) | ||||
3.1.4 | 明朝体モダン | りょうDisplay(アドビシステムズ) | ||
コミクス(ニィス) | ||||
丸明Yoshino(カタオカデザインワークス) | ||||
ことのは(朗文堂) | ||||
3.1.5 | ゴシック体クラシック | TB築地(タイプバンク) | ||
3.1.6 | ゴシック体モダン | ネオツデイ小がな(モリサワ) | ||
りょうゴシック(アドビシステムズ) | ||||
3.2.0 | 等線 | |||
3.2.1 | セリフ | |||
3.2.2 | サンセリフ | サンクスR(ニィス) | ||
ロゴアール(アドビシステムズ) | ||||
3.2.3 | 手書き風 | ゼンゴN(モリサワ) | ||
ひまわり(フォントワークス) | ||||
丸明Fuji(カタオカデザインワークス) | ||||
3.3.0 | 非等線 | DFクラフト童(ダイナコムウェア) |
図3 対応書体
金属活字時代からフォントベンダは,その書体の特徴を示すために書体見本帳を作成し,フォント利用者に提供してきた。多くの書体見本帳では,字形集合を示すことに重点が置かれ,その後写研の見本帳ではじめてサンプルテキストに用いる文字や印字サイズについて工夫が施された。しかし,各ベンダが同じ方向で工夫しているわけではなく,その書体の成り立ち,特徴に関する説明があっても,それは必ずしも書体選択の指針になっていない。
そこで書体見本帳の作成指針を用意して,利用者による書体選択の指針になり得る書体見本帳の普及を図ることが望まれる。
書体見本帳を,
ここでは,Webサイトにおける書体見本帳[7]を念頭において,その作成指針を検討した。今回は,この中のインデックスの機能分析を中心に行った。インデックスにおいては,
図4 インデックスとしての書体見本
これらの個々について,若干の考察を行う。
伝統的な見本帳はすべて組版されたものを用いている。わずかなスペースの中で効率的に見せる工夫は,大日本印刷の『活字の栞』(4ページ)にその萌芽が見られ,写研の見本帳によってある程度の完成に至ったとしてよい。しかし,縦組と横組の違いなどを含めて評価しようとした場合には限界もあると同時に,その割には(インデックスとしては)面積をとりすぎるきらいがある。
インデックスとしての可能性検証の対象になるものとしてはイワタがある。このスタイルでは,中サイズの縦組は8字詰4行であり,この程度で書体特性が表現できることが確かめられれば実用になるであろう。イワタの中サイズの縦組例を図示する。
図5 イワタの中サイズの縦組例
エレメント集合で書体を表現した例を示す。
図6 エレメント集合
このスタイルは書体デザインの特徴を端的に表現しており,単なる一部の文字(この場合は漢字)を羅列するより極めて効果が高い。しかし組版した状態を仮想空間において想像(推定)できるのは,フォントデザインのプロ以外には難しい。このようなエレメント集合で書体を表現するとしても,インデックスではなく,資料の一つとしての位置付けが好ましい。
このスタイルは(多くは組見本との併置ではあるが)増大してきている。具体的な文字としては,
TSの構成に示した"利用者インタフェース","附属書B 異なる書体分類間のマッピング"および"解説"については検討が進んでいなく,今後の検討課題としている。"フォント属性"についてもまだ具体的な属性(または属性集合)を規定するには至っていない。
この試行標準(TS)が扱おうとしているフォントリソース参照方式は,フォント情報交換において最も検討と実装が遅れた分野であり,このTSの公表が関連業界のこの分野での活動活性化に寄与することを期待している。
この試行標準(TS)の規定内容そのものについても,関係各位のコメントと積極的ご提案を歓迎する。
[1] 学会試行標準/WG7小委員会, http://www.y-adagio.com/public/committees/ipsj-ts_wg7/cmt_ipsj-ts_wg7.htm
[2] ISO/IEC 9541, Font information interchange (9541-1 1991, 9541-1/Amd.1 2001, 9541-1/Amd.2 1998, 9541-1/Amd.3 2000, 9541-2 1991, 9541-2/Amd.1 2000, 9541-3 1994, 9541-3/Amd.1 2005)
[3] PANOSE 2.0 White Paper, Hewlett-Packard Document EWC-92-0015h, 1993-12
[4] 小宮山博史, "基本 日本語活字集成 OpenType版", ISBN 978-4-416-60827-2, 誠文堂新光社, 2007-05
[5] 祖父江慎, "フォントブック 和文基本書体編", ISBN 978-4-839-92205-4, 毎日コミュニケーションズ, 2008-05
[6] 1994年度 JBMA実装規約小委員会報告書, p.123, JBMA, 1995-03
[7] 長村玄,小町祐史,上村圭介,Font Museumの公開,画像電子学会 第6回画像ミュージアム研究会,2008-02